肩甲骨の筋付着部を赤線で読む|お手本と記入式塗り絵
Oct 30, 2026
筋の名前を覚えるとき、「どの骨の、どの場所につくのか」まで図で確認できていますか。今回は、古典解剖図に残された赤い線=筋の付着部を示す境界を手がかりに、肩甲骨を読んでみましょう。
同じ図から、名称と指示線を入れた「お手本」と、筋名を自分で記入する「塗り絵ワーク」を用意しました。赤線・骨の輪郭・陰影は元の素材を保持しています。
A4横向きで印刷できます。赤線を活かすため、カラー印刷がおすすめです。
まず、図の向きを確認しよう
この図は左肩甲骨の後面です。画面の左が外側、右が内側。上方を斜めに横切る肩甲棘を見つけると、その上の棘上窩と、下の棘下窩を分けられます。[1]
赤線は骨折線や血管ではありません。また、赤い線そのものが筋全体の形を表すわけでもありません。骨上の付着位置・範囲を読むための印として観察してください。
お手本:13か所の指示線をたどる
図1.名称・指示線入りのお手本。番号01は上腕二頭筋短頭と烏口腕筋の2筋をまとめています。指示線の先端は付着部の代表点です。画像を拡大するかPDFでご覧ください。
まずは広い面を占める棘上筋(10)と棘下筋(12)から。次に、外側縁に沿う小円筋(05)と、その下方の大円筋(06)を比較します。筋名を順番に唱えるだけでなく、骨の上で場所を指して確かめてみてください。[1]
内側縁では、上方から肩甲挙筋(09)→小菱形筋(11)→大菱形筋(13)の順に位置関係を確認します。肩甲棘の稜では、僧帽筋(04)の停止する上唇と、三角筋(03)の起始する下唇を区別します。両筋は肩峰にも付着します。[1]
名称を隠して、記入して塗ってみよう
図2.記入式塗り絵。名前の欄だけを空白にしているため、お手本と同じ位置で答え合わせができます。
- お手本で、灰色の指示線の先と赤線で示された付着部を確かめます。
- お手本を隠し、01〜13の空欄に筋名を書きます。01には2筋を書きましょう。
- 隣り合う筋の付着部を、淡い色鉛筆で塗り分けます。赤線と骨の陰影が見える濃さを保ちます。
- お手本で答え合わせをし、間違えた場所だけ別の日にもう一度説明してみます。
色は学習用の約束です。例えば棘上筋は薄い黄、棘下筋は薄い青、小円筋は薄い緑、大円筋は薄い橙と、自分のルールを決めて構いません。骨全体を塗りつぶすのではなく、隣り合う付着部の違いが分かることを目標にしましょう。
答えと付着部の整理
表の「起始/停止」は、この図に示す肩甲骨側についての区別です。
| 番号 | 筋名 | 図で確認する場所 | 肩甲骨側 |
|---|---|---|---|
| 01 | 上腕二頭筋短頭・烏口腕筋 | 烏口突起の先端 | 起始 |
| 02 | 上腕二頭筋長頭 | 関節上結節 | 起始 |
| 03 | 三角筋 | 肩峰・肩甲棘の下唇 | 起始 |
| 04 | 僧帽筋 | 肩甲棘の上唇・肩峰など | 停止 |
| 05 | 小円筋 | 外側縁の後面、上部 | 起始 |
| 06 | 大円筋 | 下角に近い後面 | 起始 |
| 07 | 広背筋の筋束(個体差あり) | 下角 | 起始 |
| 08 | 肩甲舌骨筋 | 肩甲切痕に隣接する上縁 | 起始 |
| 09 | 肩甲挙筋 | 上角から肩甲棘までの内側縁 | 停止 |
| 10 | 棘上筋 | 棘上窩 | 起始 |
| 11 | 小菱形筋 | 肩甲棘の根元に接する内側縁 | 停止 |
| 12 | 棘下筋 | 棘下窩 | 起始 |
| 13 | 大菱形筋 | 肩甲棘より下の内側縁 | 停止 |
古典図を読むときの3つの注意
広背筋の下角への付着には個体差があります。 番号07は原図に描かれた下角由来の筋束を示しています。「広背筋は必ず肩甲骨から起こる」と覚えないようにしましょう。[1]
肩甲棘の根元の平滑な三角面は、僧帽筋腱が滑走する場所です。 その面全体を僧帽筋の停止部として塗りつぶすのではなく、稜の付着部と区別してください。[1]
この一枚は、肩甲骨の付着筋すべてを網羅する図ではありません。 前面の肩甲下筋や前鋸筋などは別の図で確認します。また、指示線の一点だけが付着部という意味ではなく、赤線と周囲の骨の形を合わせて読みます。
もう一度、図を見ずに答えてみよう
「棘上筋と棘下筋を分ける骨の目印は?」
「内側縁の上方から、肩甲挙筋・小菱形筋・大菱形筋を指せる?」
「肩甲骨上で、三角筋は起始、僧帽筋は停止と区別できる?」
名前と場所を結びつけて説明できたら、次は前面や外側面と比較してみましょう。体系的に学びたい方は、かずひろ先生の解剖学e-learningもご覧ください。
図版と参考文献
図版提供・日本語注釈:Kazuhiro Kurosawa。原典の図と提供された位置情報を照合し、名称と指示線を追加しました。骨の描画と赤線は元の素材を保持しています。原典はGrayの1918年第20版、Fig. 203「Left scapula. Dorsal surface.」です。古典図の出典と、日本語教材としての編集クレジットを分けて表示しています。
- Gray H. Anatomy of the Human Body. 20th ed. Lewis WH, editor. Philadelphia: Lea & Febiger; 1918. II. Osteology, 6a.2 The Scapula; Fig. 203. 本文・図の公開版. [参照 2026-10-30].
- Wikimedia Commons. File:Gray203.png:図版の書誌情報・原典・パブリックドメイン表示. [参照 2026-10-30].
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